Salesforce×楽天グループ 取引実績とtoBeマーケティングの関係

楽天グループ(EC/金融/モバイル)とSalesforceの取引実績・歴史変遷、およびtoBeマーケティング株式会社の関与について公開情報を調査
本ページはすべて公開Web情報(ニュース記事・求人票・企業公式サイト・プレスリリース)に基づく調査であり、各社の非公開契約内容・正式な取引金額・契約範囲は反映されていない。

エグゼクティブサマリー

1. Salesforce×楽天グループ 関係の全体像

項目内容
関係の性質資本提携なし。楽天グループが顧客としてSalesforceライセンスを購入し、社内エンジニアリング組織が内製でCRM/SFA/コンタクトセンター基盤を構築・運用
主な利用領域楽天市場(EC)の出店者向けCRM・SFA・コールセンターシステム
組織体制「Salesforceコンサルタント・エンジニア」「Salesforceアーキテクト」等の専任ポジションが複数存在(コマースカンパニービジネスサポート開発部、コーポレート情報技術部など)
規模感求人票の表現では「国内有数のSalesforceユーザー」「多くのSFDC組織を運用」「他楽天グループSalesforceとの連携」など、複数のSalesforce組織(マルチオーグ)が存在することが示唆される
経営層の関係2018年4月「新経済サミット」にて三木谷浩史氏(楽天会長兼社長)とマーク・ベニオフ氏(Salesforce会長兼CEO)が対談。内容はSalesforceの経営戦略・日本市場観が中心で、資本・業務提携への具体的言及はなし
逆方向の連携楽天Pay(オンライン決済)がSalesforce B2C Commerce Cloud向けカートリッジとしてAppExchangeに掲載。楽天が決済インテグレーションの提供側としてSalesforceエコシステムに参加

2. 事業ドメイン別の取引実績

2-1. EC(楽天市場)

楽天市場の出店者向けCRM顧客管理システム/SFA/コールセンター向けシステムをSalesforce基盤(Sales Cloud、Service Cloud、Experience Cloud)で構築・運用。求人票(Green、Workday採用ページ、doda等)に繰り返し登場する記述であり、社内開発体制として定着している(コマースカンパニービジネスサポート開発部 ECビジネス・エンパワーメント課=CCBD、コーポレート情報技術部=CITDなど)。Salesforce公式の顧客事例ページにも「楽天Edy」が掲載されている。

2020年12月の個人情報漏えい事故:クラウド型営業管理システム(Salesforce Experience Cloud)のアクセス権限設定不備により、2016年1月〜2020年11月の間、ゲストユーザーでも参照可能な状態が発生。楽天・楽天カード・楽天Edyの3社合計で最大148万6291件(楽天単独で最大138万1735件、うち実被害208件)の事業者情報(企業名・店舗名・住所・代表者名・電話番号・メールアドレス等)が流出した可能性ありと発表。同時期にPayPayでも同種の事故が発生し、NISCが「Salesforce」利用企業全体に注意喚起を出す事態に発展した(2021年2月)。

2-2. 金融(楽天カード/楽天銀行/楽天証券/楽天生命/楽天損保)

会社状況
楽天カード2020年情報漏えい事故の当事者の一つ(事業者向けビジネスローン申込者情報が対象)。独自のSalesforce導入事例を示す公開情報は限定的
楽天銀行プレスリリースにSalesforceとの連携に関する記述があるが、具体的な導入プロジェクトの詳細は非公開
楽天証券Salesforce導入を示す公開情報は見つからず。Splunk(マクニカネットワークス支援)、NICE Actimize(AMLソリューション)などSalesforce以外のベンダーとの取引が目立つ
楽天生命保険2015年8月に代理店向けクラウド型営業支援システムを本稼働。採用製品はMicrosoft Dynamics CRM Online(日立ソリューションズ支援)であり、Salesforceではない
楽天損保楽天生命との生損保一体型基幹システム構築が進行中(2023年11月〜、ベンダーはSimplex)。Salesforceへの言及は確認できず。金融庁からの報告徴求命令が出るなど刷新は難航中と報道

小括:楽天グループの金融セグメントは、EC領域ほどSalesforceへの依存度が高くない。会社ごとに異なるベンダー(Salesforce/Microsoft/Simplex等)を採用しており、グループ横断でのSalesforce統一基盤化は進んでいないとみられる。

2-3. モバイル(楽天モバイル)

楽天モバイルは自社ブランドのクラウドコンタクトセンターサービス「楽天コネクト Storm」を展開しており、これが法人向け・自社向けの主力コンタクトセンター基盤となっている。楽天コネクト StormはSalesforceを含む外部CRM/UC/WFM製品と連携可能という位置付けであり、Salesforceは「Stormの連携先の一つ」に過ぎない。楽天モバイルがSales CloudやService Cloudを法人営業・カスタマーサポートの基幹として全面導入しているという公開情報(プレスリリース・導入事例等)は確認できなかった。法人契約数は2024年時点で1万社超と拡大しているが、それを支えるCRM基盤の詳細は非公開。楽天Symphony(通信インフラ輸出事業)とSalesforceの関係についても公開情報からは確認できず。

3. 取引の歴史変遷

2000年代後半〜
楽天市場の出店者向けCRM/SFA基盤としてSalesforceの利用開始(正確な導入年は非公開。求人票からは長期にわたる内製運用体制が確認できる)
2015年8月
楽天生命保険が代理店向け営業支援システムを本稼働(※Salesforceではなく Microsoft Dynamics CRM Online、日立ソリューションズ支援)
2016年1月〜2020年11月
楽天市場CRM(Experience Cloud)でアクセス権限設定の不備が発生していた期間
2018年4月
新経済サミットで三木谷氏とベニオフ氏が対談(経営者間の関係性を示すが、資本業務提携ではない)
2020年12月25日
楽天・楽天カード・楽天Edyで最大148万件規模の情報漏えいの可能性を公表。原因はSalesforce Experience Cloudの設定不備
2021年2月
NISCがSalesforce利用企業(楽天・PayPay等)に設定見直しの注意喚起を発出
2023年11月6日
富士通がtoBeマーケティングの全株式取得の株式譲渡契約を締結(詳細は4章)
2023年12月〜
toBeマーケティングが富士通グループの一員として事業活動を開始、完全子会社化
継続中
楽天市場のCRM/SFA/コールセンターシステムはSalesforce基盤での内製開発・運用が継続。求人は現在も継続的に出稿されている

4. toBeマーケティング株式会社との関係

4-1. 会社概要(2026年7月時点)

会社概要
設立2015年6月(前身は2014年設立の2BC株式会社からの事業分社)
代表小池智和
本社東京都中央区京橋
従業員数約90〜93名
資本関係2023年11月6日、富士通株式会社が全株式取得の株式譲渡契約を締結。2023年12月より富士通の完全子会社。ブランドは「toBeマーケティング, a Fujitsu company」に変更
事業内容Salesforce Marketing Cloud Engagement/Marketing Cloud Account Engagement(旧Pardot)の導入・活用支援で国内シェアNo.1。2,000社以上の導入支援実績、Salesforce Partner Award 4年連続受賞

4-2. 富士通による買収の背景・狙い

4-3. 楽天グループとの関係についての調査結果

今回の調査範囲では、toBeマーケティング(および富士通)と楽天グループとの直接的な取引・導入事例を示す公開情報は確認できなかった。Salesforce World Tour Tokyo 2024のセッションレポートにも楽天への言及はなし。toBeマーケティング公式サイトの導入事例一覧・ニュースリリースにも楽天グループ各社の名前は登場しない。保険業界向け事例として「Marketing CloudとPersonalizationで100万人の顧客にパーソナライズ体験を提供し、保険契約の継続率を向上」という事例が存在するが、企業名は非公開(会員限定コンテンツ)。楽天生命は前述の通りMicrosoft Dynamics CRMを採用しているため、この事例が楽天生命である可能性は低い。

4-4. なぜSalesforce担当者はこの文脈でtoBeマーケティングの名前を出したのか(考察)

仮説1:クロスセルの打診(最も可能性が高い)

Salesforce側からすると、富士通は「SFA/CRMは強いがMAが弱い」会社だったが、2023年末のtoBeマーケティング買収で自社グループ内にMA国内No.1パートナーを持つに至った。楽天グループ(特に金融・保険セグメント)はSalesforce導入が手薄な領域であり、Salesforce担当者としては「富士通が本気で楽天にSalesforce案件を取りに行くなら、グループ内のtoBeマーケティングを使えばMarketing Cloud/Data Cloud込みの提案ができるはず」という前提で名前を出した可能性が高い。これはSalesforce社にとっても自社製品の拡販(Customer 360全方位提供)に直結するため、Salesforce側にもtoBeマーケティングを勧めるインセンティブがある。

仮説2:競合牽制・探り

楽天グループの中でSalesforceが本格導入されていない金融・保険領域に、富士通が自社グループのtoBeマーケティング経由でSalesforce製品を提案してくる可能性をSalesforce側が想定し、協業の芽を探るための発言だった可能性。

仮説3:非公開の実案件(根拠は薄い)

toBeマーケティングが現在進行形で楽天グループのどこかとSalesforce MA導入プロジェクトを進めている可能性はゼロではないが、本調査では裏付ける公開情報は一切見つからなかった。

推奨アクション:次にSalesforce担当者と話す機会があれば、「toBeマーケティングと楽天の間に何か具体的な案件・実績があるのか、それとも一般論としてグループシナジーの話をしているのか」を直接確認するのが最も確実。あわせて社内(toBeマーケティング側、または富士通のSalesforceアライアンス担当部署)に、楽天向けの提案実績や商談状況を確認することを推奨する。

5. 情報源の限界

営業活動への示唆

示唆

参考情報源