IT営業 基礎知識シリーズ ③

RCP / 楽天シンフォニー / OSS / Cloud

楽天モバイルが世界に挑む「通信×クラウド」の革命を理解しよう

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まず全体像:楽天モバイルが起こした「通信革命」

なぜ世界が注目するのか

楽天モバイルは2019年に日本の第4のキャリアとして参入しました。しかし単なる「格安キャリア」ではありません。世界初の完全クラウドネイティブ通信ネットワークを構築し、その技術・知見を世界に輸出するビジネスモデルを展開しています。

▼ 楽天グループ 通信ビジネス全体図
📱 楽天モバイル(日本)
フルクラウドNWの
実証フィールド
🏗️ RCP
Rakuten
Communications
Platform
通信基盤をソフトウェア化
🌍 楽天シンフォニー
RCPを世界の
キャリアに販売
↑ RCPの中にOSSも含まれ、すべてクラウド(AWS等)上で動作する
🏭 わかりやすい例え

楽天モバイル=工場の直営店。自社工場(RCP)で作った商品を自社ブランドで販売し実証。
楽天シンフォニー=製造業のBtoB部門。その工場技術・製品ラインを他社(世界の通信キャリア)にOEM/ライセンス販売。
テスラが自社電気自動車を販売しつつ、バッテリー技術を他社にも供給するイメージ。

📡

RCP(Rakuten Communications Platform)

楽天モバイルが構築した「通信のOS」

一言で言うと:「通信ネットワーク全体をソフトウェアとクラウドで動かすプラットフォーム」

従来の通信ネットワークは、高価な専用ハードウェア(Nokia、Ericsson、Huawei製等)で構成されていました。RCPはこれを汎用サーバー+ソフトウェア+クラウドに置き換えた革命的なアーキテクチャです。

RCPのアーキテクチャ(何が含まれているか)

管理層
⚙️ OSS / BSS(運用・業務支援システム)
ネットワーク管理 障害検知・自動復旧 課金・顧客管理 AI自動化
↕️
制御層
📡 仮想化コアネットワーク(vCore)
5G SA Core(AMF/SMF等) vIMS(音声) vEPC ネットワークスライシング
↕️
無線層
📶 Open RAN(O-RAN)
vRAN(仮想基地局) O-DU / O-CU RIC(RAN Intelligent Controller) Open Fronthaul
↕️
基盤層
☁️ クラウドインフラ(AWS / プライベートクラウド)
汎用x86サーバー AWS クラウド統合 Kubernetes/コンテナ CI/CD自動化

従来の通信NW vs RCP の違い

【従来型 通信NW】
  • 専用ハードウェア(数十億円規模)
  • ベンダーロックイン
  • 機能変更に数ヶ月〜数年
  • 手動設定・運用
  • サイロ化した管理システム
【RCP(クラウドネイティブ)】
  • 汎用サーバー+オープンソース
  • マルチベンダー対応(O-RAN)
  • 機能追加をソフトウェアで即時対応
  • AI/自動化による自律運用
  • OSSで全体を一元管理
🌍 なぜ世界が注目するのか

楽天モバイルは約800万人のユーザーを持つ日本4位のキャリアでありながら、世界最初のフルクラウドネイティブ通信ネットワークを商用化しました。その建設コストは従来比で約30-40%削減とも言われ、運用もAIで自動化。この実証実績があるため「机上の空論」ではなく、世界の通信キャリアが真剣に検討しています。

💼 営業トークへの活かし方

「RCPは単なる製品ではなく、通信業界をSaaS化する思想です。キャリアがインフラを所有する時代から、ソフトウェアをサブスクリプションで利用する時代への転換。この波に乗れないキャリアは競争力を失います。」

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楽天シンフォニー(Rakuten Symphony)

楽天の通信テック子会社 = RCPの「販社」

一言で言うと:「楽天モバイルが構築したRCPを、世界の通信キャリアにB2Bで販売する会社」

楽天シンフォニーは2021年に設立されたRakuten Groupの通信テクノロジー子会社です。本社はシンガポールに置き、グローバル展開を加速しています。

楽天シンフォニーの提供サービス群

Symworld

クラウドネイティブ通信OSS統合プラットフォーム。ネットワーク管理・自動化・AI分析を一元提供。世界のキャリアが導入可能。

Open RAN

O-RAN対応のvRANソフトウェア。汎用サーバー上で動作する基地局ソフト。Nokiaなど既存ベンダーとも協調。

5G Core

クラウドネイティブ5Gコアネットワーク。Kubernetes上で動作するコンテナ化されたコアNWをキャリアに提供。

MVNE Platform

クラウドベースのMVNEプラットフォーム。キャリアが簡単にMVNO事業者向けサービスを展開できる基盤。

Professional Services

導入コンサルティング・SI。RCPの設計から構築、運用移行まで支援するサービス。

楽天シンフォニーの主な顧客・パートナー(実績)

🇩🇪
1&1(ドイツ)
RCPを採用したドイツの新規Open RANキャリア
🇺🇸
米国キャリア
OSS/BSSのモダナイゼーション案件が複数進行中
🌏
アジア・中東
新興国キャリアへのクラウドNW展開案件
🤝
NEC、富士通等
日本企業との協業でOpen RAN機器を提供
💼 営業トークへの活かし方

「楽天シンフォニーとのパートナーシップやシステム連携の話が出た場合、その根底にあるのがRCPというプラットフォームです。どのコンポーネントを採用するのかを把握することで、自社製品やSIサービスとの連携ポイントが見えてきます。」

⚙️

OSS(Operations Support System)

通信ネットワークの「コントロールタワー」

一言で言うと:「通信ネットワークを監視・管理・自動化するシステム群の総称」
✈️ わかりやすい例え

通信ネットワーク=空港の航空機群。OSS=管制塔(航空管制システム)
何百機もの飛行機(ネットワーク機器)が問題なく飛べるよう、リアルタイムで状況を把握し、問題があれば指示を出して自動修正する。

OSS と BSS の違い

⚙️ OSS(Operations Support System)
ネットワーク運用側のシステム
  • ネットワーク構成管理(在庫・設備)
  • 障害管理・アラート監視
  • 性能管理・品質分析
  • サービスプロビジョニング
  • ネットワーク自動化・オーケストレーション
使う人:ネットワークエンジニア・運用チーム
💼 BSS(Business Support System)
ビジネス・顧客側のシステム
  • 顧客管理(CRM)
  • 料金計算・請求(課金)
  • サービスカタログ・注文管理
  • ポータル・アプリ
  • 収益管理・分析
使う人:営業・カスタマーサービス・経営

RCPにおけるOSSの位置づけ(楽天モデル)

楽天モバイルのRCPでは、OSSもクラウドネイティブ化・AI化が大きな特徴です。

AI-Ops

AIによるネットワーク自動運用。障害予測・自動修復・最適化を人手を介さずに実行。24時間365日の自律運用。

クラウドNative OSS

マイクロサービス化されたOSS。機能ごとに独立したサービスとして動作し、個別にアップデート・スケール可能。

Zero-Touch Provisioning

新しい基地局や機能を「ゼロタッチ」で自動展開。人がサイトに行かなくても、クラウドから設定を自動投入。

Intent-Based Networking

「○○のサービスには低遅延を確保せよ」と意図(Intent)を指定するだけでOSSが自動的にNWを最適化

OSSの主要ベンダー・製品

Amdocs
OSS/BSS大手。楽天シンフォニーとも協業
Nokia NetAct
NWマネジメント・OSS製品
Ericsson OSS
大手キャリアに広く採用
IBM Telco
AIベースのOSS変革を推進
NETCRACKER
NEC子会社。クラウドOSSに注力
💼 営業トークへの活かし方

「キャリアのDXで最も複雑な課題の一つがOSSのモダナイゼーションです。20〜30年前のレガシーOSSを刷新することは、機体を飛行しながら交換するような難しさがあります。そこに我々のマイグレーション・SI支援のビジネス機会があります。」

☁️

Cloud(クラウド)との関係

なぜ通信がクラウドと融合するのか

一言で言うと:「通信ネットワーク機能をクラウドで動かすことで、コスト・俊敏性・スケーラビリティが劇的に向上する」

楽天モバイルのクラウド活用モデル(世界初)

🤝 楽天モバイル × AWS の連携
通信NW機能のAWS移行
  • 一部のコアNW機能をAWS上で動作
  • AWS Outposts(ハイブリッド環境)活用
  • エッジクラウドで低遅延を実現
OSSのクラウド移行
  • NW監視・管理をAWSで一元化
  • データレイクで運用データ分析
  • MLモデルで障害予測・自動修復

通信×クラウド 3つの方向性

① CNF化

Cloud Native Functions:通信機能(コアNW、IMS等)をコンテナ化しKubernetes上で動作させる。スケールアップ・アップデートが柔軟に。

② MEC

Multi-access Edge Computing:クラウドの機能を基地局の近く(エッジ)に配置。工場・病院での超低遅延5Gアプリケーションを実現。

③ Network as a Service

NaaS:APIで通信ネットワークをプログラマブルに利用。スライス・帯域・品質をAPIで指定し、アプリから直接ネットワークを制御できる未来。

主要クラウドプロバイダーの通信への取り組み

クラウド 通信向け主要サービス ポイント
AWS AWS Wavelength、AWS Outposts、Snowball Edge 楽天モバイルとの深い連携。MECに積極的
Microsoft Azure Azure for Operators、Azure Private 5G Core AT&TとのNW移行等キャリアとの提携多数
Google Cloud Google Distributed Cloud、Anthos Telecom Ericsson等通信ベンダーとの技術協業に強い
🔗

RCP / 楽天シンフォニー / OSS / Cloud の関係性まとめ

4つのキーワードがどう繋がるか

▼ 楽天モデル 統合図
☁️ CLOUD INFRASTRUCTURE(AWS / プライベートクラウド)
⚙️ OSS/BSS
NW管理・AI自動化
課金・顧客管理
📡 仮想化コアNW
5G Core / IMS
コンテナ化(CNF)
📶 Open RAN
vRAN / O-RAN
AI-RIC
↑ これら全体が RCP(Rakuten Communications Platform)
↓ 世界のキャリアへ販売・導入支援
🎼 楽天シンフォニー
RCPを世界のMNO・MVNE・通信スタートアップへ商品化して提供
Symworld / Open RAN / 5G Core / MVNE Platform
📡
RCP
楽天モバイルが構築した「通信をソフトウェアで動かす」プラットフォーム。OSS・コアNW・Open RANを全包含。
🎼
楽天シンフォニー
RCPを世界の通信キャリアに販売するB2B子会社。「楽天の通信革命を世界に輸出する」ための組織。
⚙️
OSS
RCPの管理層に位置する「ネットワーク運用自動化システム」。AI化・クラウド化がRCPの最大の差別化要因。
☁️
Cloud
RCP全体が動く基盤。AWSとの深い連携が楽天の強み。通信とクラウドの融合がRCPの技術的核心。
🎯 一言まとめ

RCP(通信をOS化したプラットフォーム)の中に OSS(自動運用システム)が内包され、Cloud(AWS等)上で動作する。その全体を 楽天シンフォニーが世界に販売している。この4つは「楽天が通信業界に起こした革命」を説明する一連のストーリーです。