まず全体像:楽天モバイルが起こした「通信革命」
なぜ世界が注目するのか
楽天モバイルは2019年に日本の第4のキャリアとして参入しました。しかし単なる「格安キャリア」ではありません。世界初の完全クラウドネイティブ通信ネットワークを構築し、その技術・知見を世界に輸出するビジネスモデルを展開しています。
フルクラウドNWの
実証フィールド
Rakuten
Communications
Platform
通信基盤をソフトウェア化
RCPを世界の
キャリアに販売
楽天モバイル=工場の直営店。自社工場(RCP)で作った商品を自社ブランドで販売し実証。
楽天シンフォニー=製造業のBtoB部門。その工場技術・製品ラインを他社(世界の通信キャリア)にOEM/ライセンス販売。
テスラが自社電気自動車を販売しつつ、バッテリー技術を他社にも供給するイメージ。
RCP(Rakuten Communications Platform)
楽天モバイルが構築した「通信のOS」
従来の通信ネットワークは、高価な専用ハードウェア(Nokia、Ericsson、Huawei製等)で構成されていました。RCPはこれを汎用サーバー+ソフトウェア+クラウドに置き換えた革命的なアーキテクチャです。
RCPのアーキテクチャ(何が含まれているか)
従来の通信NW vs RCP の違い
- 専用ハードウェア(数十億円規模)
- ベンダーロックイン
- 機能変更に数ヶ月〜数年
- 手動設定・運用
- サイロ化した管理システム
- 汎用サーバー+オープンソース
- マルチベンダー対応(O-RAN)
- 機能追加をソフトウェアで即時対応
- AI/自動化による自律運用
- OSSで全体を一元管理
楽天モバイルは約800万人のユーザーを持つ日本4位のキャリアでありながら、世界最初のフルクラウドネイティブ通信ネットワークを商用化しました。その建設コストは従来比で約30-40%削減とも言われ、運用もAIで自動化。この実証実績があるため「机上の空論」ではなく、世界の通信キャリアが真剣に検討しています。
「RCPは単なる製品ではなく、通信業界をSaaS化する思想です。キャリアがインフラを所有する時代から、ソフトウェアをサブスクリプションで利用する時代への転換。この波に乗れないキャリアは競争力を失います。」
楽天シンフォニー(Rakuten Symphony)
楽天の通信テック子会社 = RCPの「販社」
楽天シンフォニーは2021年に設立されたRakuten Groupの通信テクノロジー子会社です。本社はシンガポールに置き、グローバル展開を加速しています。
楽天シンフォニーの提供サービス群
クラウドネイティブ通信OSS統合プラットフォーム。ネットワーク管理・自動化・AI分析を一元提供。世界のキャリアが導入可能。
O-RAN対応のvRANソフトウェア。汎用サーバー上で動作する基地局ソフト。Nokiaなど既存ベンダーとも協調。
クラウドネイティブ5Gコアネットワーク。Kubernetes上で動作するコンテナ化されたコアNWをキャリアに提供。
クラウドベースのMVNEプラットフォーム。キャリアが簡単にMVNO事業者向けサービスを展開できる基盤。
導入コンサルティング・SI。RCPの設計から構築、運用移行まで支援するサービス。
楽天シンフォニーの主な顧客・パートナー(実績)
「楽天シンフォニーとのパートナーシップやシステム連携の話が出た場合、その根底にあるのがRCPというプラットフォームです。どのコンポーネントを採用するのかを把握することで、自社製品やSIサービスとの連携ポイントが見えてきます。」
OSS(Operations Support System)
通信ネットワークの「コントロールタワー」
通信ネットワーク=空港の航空機群。OSS=管制塔(航空管制システム)。
何百機もの飛行機(ネットワーク機器)が問題なく飛べるよう、リアルタイムで状況を把握し、問題があれば指示を出して自動修正する。
OSS と BSS の違い
- ネットワーク構成管理(在庫・設備)
- 障害管理・アラート監視
- 性能管理・品質分析
- サービスプロビジョニング
- ネットワーク自動化・オーケストレーション
- 顧客管理(CRM)
- 料金計算・請求(課金)
- サービスカタログ・注文管理
- ポータル・アプリ
- 収益管理・分析
RCPにおけるOSSの位置づけ(楽天モデル)
楽天モバイルのRCPでは、OSSもクラウドネイティブ化・AI化が大きな特徴です。
AIによるネットワーク自動運用。障害予測・自動修復・最適化を人手を介さずに実行。24時間365日の自律運用。
マイクロサービス化されたOSS。機能ごとに独立したサービスとして動作し、個別にアップデート・スケール可能。
新しい基地局や機能を「ゼロタッチ」で自動展開。人がサイトに行かなくても、クラウドから設定を自動投入。
「○○のサービスには低遅延を確保せよ」と意図(Intent)を指定するだけでOSSが自動的にNWを最適化。
OSSの主要ベンダー・製品
「キャリアのDXで最も複雑な課題の一つがOSSのモダナイゼーションです。20〜30年前のレガシーOSSを刷新することは、機体を飛行しながら交換するような難しさがあります。そこに我々のマイグレーション・SI支援のビジネス機会があります。」
Cloud(クラウド)との関係
なぜ通信がクラウドと融合するのか
楽天モバイルのクラウド活用モデル(世界初)
- 一部のコアNW機能をAWS上で動作
- AWS Outposts(ハイブリッド環境)活用
- エッジクラウドで低遅延を実現
- NW監視・管理をAWSで一元化
- データレイクで運用データ分析
- MLモデルで障害予測・自動修復
通信×クラウド 3つの方向性
Cloud Native Functions:通信機能(コアNW、IMS等)をコンテナ化しKubernetes上で動作させる。スケールアップ・アップデートが柔軟に。
Multi-access Edge Computing:クラウドの機能を基地局の近く(エッジ)に配置。工場・病院での超低遅延5Gアプリケーションを実現。
NaaS:APIで通信ネットワークをプログラマブルに利用。スライス・帯域・品質をAPIで指定し、アプリから直接ネットワークを制御できる未来。
主要クラウドプロバイダーの通信への取り組み
| クラウド | 通信向け主要サービス | ポイント |
|---|---|---|
| AWS | AWS Wavelength、AWS Outposts、Snowball Edge | 楽天モバイルとの深い連携。MECに積極的 |
| Microsoft Azure | Azure for Operators、Azure Private 5G Core | AT&TとのNW移行等キャリアとの提携多数 |
| Google Cloud | Google Distributed Cloud、Anthos Telecom | Ericsson等通信ベンダーとの技術協業に強い |
RCP / 楽天シンフォニー / OSS / Cloud の関係性まとめ
4つのキーワードがどう繋がるか
課金・顧客管理
コンテナ化(CNF)
AI-RIC
RCP(通信をOS化したプラットフォーム)の中に OSS(自動運用システム)が内包され、Cloud(AWS等)上で動作する。その全体を 楽天シンフォニーが世界に販売している。この4つは「楽天が通信業界に起こした革命」を説明する一連のストーリーです。