データセンタ設備レポート

データセンタ ACI 機器 更改レポート

ACIの概要 / 楽天モバイルとの関連性 / Regional DCにおける更改実務

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1. ACIの概要

Cisco Application Centric Infrastructure

一言で言うと:「データセンタ内のネットワークを、画面操作だけで自動設定・自動制御するCisco製SDN基盤」
🏙️ わかりやすい例え

大きなビルの「電話・LAN・セキュリティを一括管理するビル管理システム」と同じイメージ。従来は部屋(サーバー)ごとにケーブルを配線し、スイッチに個別設定していたが、ACIならアプリのようにポリシー(設計図)を作るだけで、DC内の何百台ものスイッチに自動反映される。

構成要素(3点セット)

▼ ACIファブリックの基本構成(Spine-Leaf型)
APIC
集中管理コントローラ
↓ ポリシー配信
Spineスイッチ
ファブリックの背骨
Leafスイッチ
サーバー収容口
Leafスイッチ
Leafスイッチ
サーバー群
vRAN/UPF/アプリ等

APIC

ファブリック全体のポリシー(誰と誰が通信できるか等)を一元管理する集中コントローラ。通常3台以上でクラスタ構成。

Spineスイッチ

ファブリックの中核。全Leafスイッチと接続する「背骨」で、機器自体には個別設定を持たない。

Leafスイッチ

サーバーやストレージが実際に接続される末端スイッチ。Nexus 9000シリーズが代表機種。

Tenant / EPG / Contract

「誰が」「どのグループで」「何を許可するか」を定義するポリシーモデル。物理配線を変えずに通信ルールを変更できる。

ACIが選ばれる理由

  • 自動化:数百台規模のスイッチ設定をAPICから一括投入。人手による設定ミスを削減
  • マルチテナント:1つの物理ファブリック上に、論理的に分離された複数のネットワーク(テナント)を共存させられる
  • スケールアウト:Leaf/Spineを追加するだけでファブリック容量を線形に拡張できる
  • East-West通信への強さ:サーバー間(横方向)通信が多い仮想化・コンテナ環境に最適化された構造
  • クラウド連携:AWS/Azure等のパブリッククラウドともポリシーを一元管理可能(Cisco Cloud ACI)
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2. 楽天モバイルとの関連性

Open RAN/仮想化ネットワークとACIの接点

一言で言うと:「楽天モバイルのOpen RAN網は、多数のDC拠点間・拠点内サーバー間通信を前提にしており、ACIはその"土台"となるネットワーク基盤」

楽天モバイルのDC階層とACIの位置づけ

楽天モバイルはOpen RAN/vRANアーキテクチャを採用し、無線処理をソフトウェア化して汎用サーバー上で実行する構成をとっている。そのため従来キャリア以上に「DC=サーバー群のネットワーク基盤」の比重が大きく、DC内ネットワークの自動化・仮想化基盤が事業運営に直結する。

▼ 楽天モバイル DC階層イメージ
基地局DC
RU/DU収容
Regional DC
約50拠点
中央DC/コア
UPF・BSS/OSS等
各階層のDC内ネットワークで
Cisco ACIによる自動化・マルチテナント管理が使われる

なぜOpen RAN構成でACIが重要になるのか

理由①

East-West通信の急増:vDU・vCU・UPF・MEC等の仮想化ネットワーク機能(VNF/CNF)が拠点内で相互に大量通信する。従来型ネットワークより自動化・可視化のニーズが高い。

理由②

多拠点・同一設計の展開:Regional DCは全国約50拠点に及ぶため、拠点ごとに個別設定するのではなく、同一ポリシーテンプレートを横展開できるACIの仕組みと相性が良い。

理由③

Kubernetes基盤との連携:Open RANのCNF(Cloud-Native Network Function)はコンテナ基盤上で動くため、ACI CNIプラグイン等によりK8sネットワークとファブリックを統合管理できる。

理由④

マルチテナント分離:通信事業者網・法人向けサービス・社内システムなど複数の用途が同居するDCで、論理分離をポリシーベースで実現できる。

参照している社内ナレッジ Regional DC(約50拠点)の位置づけは「楽天モバイル ネットワーク全体構成図」、ACIの基礎概念は「基地局DC / ACI / IPBB 入門」を参照。本レポートはこれらを前提に、機器更改という運用フェーズに焦点を当てて整理したもの。
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3. Regional DCにおけるACI機器更改の実務

約50拠点規模でのハードウェア・リプレース作業

一言で言うと:「稼働中のネットワークを止めずに、拠点ごとに新しいAPIC/Spine/Leafへ入れ替えていくプロジェクト」

ACI機器(APICコントローラ/Spineスイッチ/Leafスイッチ)は他のネットワーク機器同様、CiscoのEoL(End of Life)/EoS(End of Support)ライフサイクルに従う。導入から数年が経過した拠点では、サポート切れリスクや性能・容量の陳腐化を理由に、計画的な更改(リプレース)が必要になる。約50拠点あるRegional DCでは、これを一斉にではなく、段階的なローリング更改として進めるのが一般的な進め方である。

更改プロジェクトの5フェーズ

Phase 1

現状評価・棚卸し

「何を」「いつまでに」「どの順番で」更改すべきかを可視化する準備工程

  • 拠点ごとのAPIC/Spine/Leafの機種・台数・稼働年数の棚卸し
  • Cisco EoL/EoS告知情報との突合、サポート切れ時期の一覧化
  • 現行ファブリックのソフトウェアバージョン(APIC OS/NX-OS)確認
  • ポート使用率・トラフィック量から将来の容量要件を試算
  • 既存のTenant/EPG/Contract等ポリシー設定のバックアップと文書化
Phase 2

移行方式の設計

サービスを止めずに切り替える方法を拠点特性に応じて選定

  • 新ハードウェア(次世代Nexus 9000シリーズ/新世代APIC)の選定・サイジング
  • 移行方式の決定:既存ファブリックへの段階的な機器差し替え(ブラウンフィールド)か、新ファブリックを並行構築して切替(グリーンフィールド)かを拠点規模・冗長構成に応じて選択
  • 冗長構成(vPC等)を活かした無停止差し替え手順の設計
  • APICクラスタの新規追加→既存ノード退役という無停止更改シーケンスの設計
  • ロールバック手順・切り戻し基準の明文化
Phase 3

検証(ラボテスト)

本番投入前に机上検証を徹底し、切替当日のトラブルを未然に防ぐ

  • 新旧機種混在時の相互接続性(Fabric Discovery)を検証環境で確認
  • 収容予定のVNF/CNF(vDU・vCU・UPF等)やKubernetes CNIとの疎通確認
  • ポリシー(Tenant/EPG/Contract)の移行後の動作一致を確認
  • 監視・ログ連携(SNMP/Syslog/Cisco Nexus Dashboard等)の再設定確認
Phase 4

拠点展開(ロールアウト・カットオーバー)

約50拠点への横展開を計画的にこなす、プロジェクトの中核工程

  • 拠点ごとの実施スケジュール策定(優先度:EoS切迫拠点/トラフィック増大拠点から着手)
  • 現地作業チームの手配・全国拠点への展開体制構築
  • 深夜・休日等トラフィック閑散時間帯での切替作業実施
  • Leaf→Spine→APICの順など、影響範囲の小さい機器から段階的に切替
  • 切替直後の疎通試験・性能試験(トラフィック監視、アラート確認)
  • 問題発生時の即時切り戻し対応
Phase 5

運用移行・ドキュメント更新

更改後も安定運用できる状態に引き継ぐ仕上げ工程

  • ネットワーク構成図・運用手順書(ランブック)の更新
  • 旧機器の資産管理からの除却・廃棄(データ消去含む)
  • 運用チームへの新機種操作・トラブルシュート研修
  • 保守契約(TAC/SmartNet等)の新機種への切替

ブラウンフィールド vs グリーンフィールド

方式概要向いている拠点
ブラウンフィールド
(既存ファブリックに順次差し替え)
既存Spine/Leafを1台ずつ新機種に入れ替え、冗長構成を活かして無停止で進める ラックスペース・電源に余裕がない拠点、冗長構成が確保できている拠点
グリーンフィールド
(新ファブリックを並行構築)
新しいAPIC/Spine/Leaf一式を並行で構築し、ワークロードを順次移設後に旧設備を撤去 大規模な設計変更を伴う拠点、旧世代からの構成刷新が必要な拠点
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4. 提案のポイント

富士通が価値を出せる領域

💬 商談での切り口

「約50拠点あるRegional DCのACI機器を、サービスを止めずに、かつスケジュール通りに更改しきるには、拠点横断のプロジェクトマネジメント力全国規模の現地作業リソースが鍵になります。富士通は大規模インフラの多拠点展開・保守運用の実績があり、評価・設計から現地カットオーバー・運用引き継ぎまで一気通貫で支援できます」という切り口で提案できる。

  • EoL/EoS棚卸しと更改優先順位付けの支援(アセスメントフェーズからの入り口)
  • ラボ検証環境の構築・新旧機種混在時の相互接続性検証
  • 全国拠点への段階展開におけるスケジューリング・現地作業チームの提供
  • 更改後の運用ドキュメント整備・保守体制(TAC連携含む)の構築
留意点 本レポートの更改スケジュールや優先順位は、一般的なCisco ACIのライフサイクル管理・大規模DC更改プロジェクトの標準的な進め方に基づく整理であり、楽天モバイル社内の実際の更改計画・契約状況を示すものではない。商談化にあたっては、顧客への個別ヒアリングで実際の機種・稼働年数・計画時期を確認すること。